2021年7月31日 翻訳研究会の例会報告

例会報告

2021731日、Zoom Meetingで「翻訳研究の古典を読む」読書会が開催されました。第4回目となる今回は、記述的翻訳研究の先達であるギデオン・トゥリーの論文を読みました(担当:広川)。トゥリーの記述的翻訳研究は、対象言語及び対象文化の視点から翻訳を捉えるという対象志向の考え方を土台として、その上に、翻訳行為は対象文化における価値観や通念によって規定されるとみなすnorm(規範)の議論が展開されている、という解釈を提示しました。発表後の議論では、社会学的に翻訳を分析する当研究手法は、共通の性質を持つ翻訳を集合体として分析し、それを通して巨視的な傾向を導き出すことを目標とするということが明らかになったように思います。また、近年発達の著しいコーパスの技術によって、翻訳行為の定量的な分析が容易になり、norm研究の充実が期待されるのではないかとの意見も出ました。トゥリーが記述的翻訳研究を提唱してから約40年あまり経ちますが、現在までにトゥリーに立脚した翻訳研究は数多いため、normの研究手法の変遷やその成果を追う必要性が示唆されました。今回の発表資料は「ダウンロード」より入手可能です。

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